昨日10月1日、安倍首相は2014年4月からの消費税率8%への改正を決定しました。
この点については、既に予想された通りです。
20131002

それよりも、今後の会計実務に影響を与えるのは10月1日付の日経新聞夕刊に掲載されていた「セブン&アイ 外税表示」の報道でしょう。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF01007_R01C13A0MM0000/

この記事の中では、イオングループは総額表示を強調する方向で調整していると書かれていますが、小売業全体として今後、税抜表示が中心になる流れは決定的になったと思われます。

こうなると、今後の争点は平成29年3月31日までの時限措置になっている総額表示の特例規定が、その後も延長されるかどうかです。
(今回の税抜表示を許容する特例は、平成29年3月31日までの時限措置になっています(消費税転嫁特別措置法附則第2条))

3年後、税率10%段階で税抜表示していたものを、税込表示に戻すことなどできるのでしょうか?
しかし、期限前の10%への税率改正時に軽減税率導入などの大幅な改正が行われ、総額表示でなければ税率の違いを認識できないといった問題が顕在化するため、その問題と一緒に発展的に(?)解決するのでしょう。

最後に、今回の安倍首相の増税決断について、本日10月2日の日経新聞朝刊に気になる記述があったので、少し長文になりますが備忘のため引用しておきます。

首相周辺は「首相は数カ月前から増税方針を決めていた」と明かす。ギリギリまで判断を延ばし、財務省にとって悲願である消費増税と引きかえに、大規模な経済対策と法人税減税を引き出す戦術をとった。
9月上旬にも、首相は好転する経済指標を踏まえ「税率上げのタイミングとしては過去にないぐらい条件が整いつつある」と周囲にもらした。だが増税方針の表明は10月1日に先送りする。「こういう好機に増税で景気が失速したら少なくとも15年間は誰も消費税に触れられなくなる。だから慎重になるんだ」
(日本経済新聞 2013年10月2日 朝刊より)

あくまでも、伝聞記事ですから、事実か否かはわかりません。しかし、霞が関内の調整に、なぜ国民が巻き込まれなければならないのでしょうか?
(先日の集中点検会合に呼ばれた有識者の方々は、この記事を読まれてどう思われるんでしょう)

昨日の繰り返しになりますが、消費税法上の指定日(10月1日)の前に、税率改正の決定が行われないのならば、指定日の存在は実務を混乱させるだけです。
今回の首相の行動によって、これからの税率改正は、半年前まで結論を出さないという慣習が定着することを強く懸念します。
(6カ月でシステム直すのは厳しいっす・・・・)

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