先週の6月5日に、 『消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法』 が、一部修正の後、成立しました。

この法案は、メディアにおいて「消費税還元セール」の是非といった形で報道されていますが、システム開発に係わる我々にとっては、もっと重要な論点を含んでいます。

それは、当法律の第10条にある「総額表示義務に関する消費税の特例」の規定です。

 (総額表示義務に関する消費税法の特例)
第10条 事業者(消費税法(昭和63年法律第108号)第63条に規定する事業者をいう。以下この条において同じ。)は、自己の供給する商品又は役務の価格を表示する場合において、今次の消費税率引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、現に表示する価格が税込価格(消費税を含めた価格をいう。以下この章において同じ。)であると誤認されないための措置を講じているときに限り、同法第63条の規定にかかわらず、税込価格を表示することを要しない。

「税込価格を表示することを要しない」とは、以前の税抜価格表示を許容するということです。

これにあわせ、5月31日付で消費税法施行規則も改正されています。

http://kanpou.npb.go.jp/20130531/20130531t00015/20130531t000150068f.html
(上記、官報のページは、2週間ほどで閲覧できなくなるので、ご注意ください)

短い省令なので、全文を転載します。

消費税法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令

消費税法施行規則の一部を改正する省令(平成15年財務省令第92号)の一部を次のように改正する。
附則第2条第4項中「施行日から平成19年3月31日までの間」を「平成26年4月1日以
後」に改め、「ついては」の下に「、当分の間」を加える。

附則   この省令は、平成26年4月1日から施行する。

この改正消令だけでは、まったく、意味がわからないと思いますので、補足しておきます。
まず、 「平成15年財務省令第92号」は、平成16年4月からの総額表示導入時の経過措置等を定めたものです。
その中の 「附則第2条」には、消費税の端数処理を規定した消費税法施行規則第22条第1項廃止にともなう経過措置が3種類定められていました。

第2条第4項に定められていたのは、「税込価格を基礎に計算できない場合は、従来(総額表示導入前、つまり税抜価格を基礎にした計算)の方法を許容する」という経過措置でした。
この経過措置は、総額表示導入から3年間の時限措置であり、適用期間の「平成19年3月31日」をもって停止されていたのですが、今回の改正により、 「当分の間」 、税抜価格ベースの積上処理が復活することになりました。

(手前味噌になってしまいますが、この論点の詳細については、拙書 『消費税改正の要点とシステム対応』 の45ページ以降で解説していますので、ご参照ください)

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