昨日、国税庁から 「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の改正版が公表されました。

「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」(令和元年7月改訂)

20190801

このQ&Aは平成28年4月の公表から数度の改訂が行われており、今回、追加又は改訂された問いの内容を簡単にまとめておきます。

基本的には従来からの考え方を踏襲したものですが、問68(遊園地の売店)で、「飲食設備」は「遊園地といった施設全体を指すものではない」と明文化されたのは、関連業界の方々の実務の助けになるでしょう。

問 14 【改訂】(みりん、料理酒、調味料の販売)
料理酒などの発酵調味料も軽減税率対象であることを追加

問22【追加】(炭酸ガスの販売)
添加物として販売されている炭酸ガスは軽減税率対象。

問26【追加】 (キャラクターを印刷したお菓子の缶詰等)
キャラクターを印刷した缶詰等も基本的には食品の販売に付帯して通常必要なものとして軽減税率の対象となる。

問27【改訂】(桐の箱の容器)
容器等に商品の名称などを直接印刷等したとしても、その飲食料品を販売するためにのみ使用していることが明らかでないものは軽減税率の対象外であることを追記。

問28【追加】(割り箸を付帯した弁当、ストローを付帯した飲料等)
食器具等も含めて軽減税率の対象。

問30【追加】(飲用後に回収される空びん)
飲用後の空びん回収時の「びん代」は軽減税率の対象外。

問41【追加】(制作物供給契約による飲食料品の譲渡等の取扱い)
飲食料品の製作物供給契約による製造においては、その取引が「(飲食料品の)製造販売」(軽減税率8%)か「賃加工」(標準税率10%)かを契約内容等により個別に判断する。

問42【改訂】(販売奨励金)
「飲食料品の譲渡」に伴う「販売奨励金」や「リベート」は、その目的や性質によって「対価の返還等」(軽減税率8%)か「役務の提供」(標準税率10%)かを判断する必要がある旨を追加。

問43【追加】(自動販売機の手数料)
「役務の提供」の対価に該当し標準税率。

問51【改訂】(屋台等での飲食料品の提供)
フードイベントについて屋台と同じ考え方を適用することを追加。

問54【追加】(従業員専用のバックヤードで飲食する場合)
従業員専用のバックヤードのように顧客により飲食に用いられないことが明らかな設備については飲食設備に該当しない。

問60【追加】(セット商品のうち一部を店内飲食する場合)
ハンバーガーとドリンクのセット商品のうち、ドリンクだけを店内飲食すると意思表示されたとしても、全体として「食事の提供」に該当し標準税率が適用される(ただし、単品で販売する場合は個々に判断する)。

問67【追加】(合意等の範囲)
「合意等」には、契約書等で明らかにされているもののみならず「黙示の合意」も含む。

問68【追加】(遊園地の売店)
遊園地という施設全体で「飲食設備」に該当するわけではない。ただし、園内に点在する売店の管理が及ぶテーブルや椅子などは「飲食設備」に該当する。

問88【追加】(食品と非売品のおもちゃの一括譲渡)
食品と非売品のおもちゃを一括譲渡する場合、非売品のおもちゃの対価を0円として按分計算することも許容される。

問89【追加】(販促品付きペットボトル飲料)
おもちゃが非売品で、おもちゃがつかなくても価格が変わらない場合、おもちゃの価格を0円として一体資産の飲食料品の譲渡に該当する。

問90【追加】(特定の飲食料品を購入した際にレジで配布される販促品)
販促品が非売品であり、販促品なしでも価格が変わらない場合、販促品の売価を0円として一体資産の要件を判断可能。

問94【追加】(食品と食品以外の資産の仕入れに共通して要した付随費用)
一体資産における食品の占める割合の計算では、①付随費用を考慮しない方法、②付随費用を各商品に按分する方法のいずれかの方法で行う。

問95【追加】(一体資産に含まれる食品に係る部分の割合の売価による判定)
一体資産における食品の割合算出にあたって、売価や原価情報の入手に制限がある場合、セット商品の売価から実際に販売されている売価を控除する方法で計算することも許容される。

問100【追加】(ホテルに対して販売する新聞)
ホテルに対して定期購読契約に基づき一定数を納品するほか、当日の宿泊客数に応じて追加部数を納品する場合、前者は軽減税率対象となるが後者は標準税率になる。

問117【追加】(年間契約の区分記載請求書)
月額料金を定めた保守サービス等で、1年間の保守料金を税率改正前に前受する場合、請求書等に旧税率と新税率の対価の額を区分して記載する必要がある。

同時に
「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」についても改正版が公表されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf

以下の問が追加されています。

問40【追加】(売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日の記載)
課税期間の範囲内で一定の期間の記載も可。

問51【追加】(適格請求書等の写しの範囲)
書類そのものを複写したものに限らず、記載内容が確認できればよい。

問66【追加】(見積額が記載された適格請求書の保存等)
見積額が記載された適格請求書の交付が受けられない場合でも、電気、ガス、水道水の供給のように継続して行われる取引については、その後、金額確定時の適格請求書を保存することを条件として見積額で仕入税額控除可能。

問78【追加】(売上税額の積上げ計算における適格請求書の交付の範囲)
スーパーのレシートのように適格請求書を交付しようとしたものの顧客が受け取らなかった場合でも、積上げ計算の対象にできる。

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2019年8月7日(水)
総点検!『軽減税率・インボイス方式』をめぐる消費税システム対応」
https://www.mizuhosemi.com/section/accounting/19-10845.html
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