昨日、6月5日付で自民党と公明党の税制協議会は、軽減税率導入時の素案をまとめた「消費税の軽減税率に関する検討について」を公表しました。
https://www.jimin.jp/news/policy/pdf/pdf179_1.pdf

この資料では、軽減税率の対象品目として、すべての飲食料品を対象にするものから精米のみを対象にするものまで8つの案が示されています。
201406061

しかし、実際に軽減税率が導入された場合に会計実務への影響が大きいのは対象品目よりも経理処理方法です。
(軽減税率導入による複数税率の影響は対象品目を扱っている業種にしか関係ありませんが、経理処理方法の変更はすべての事業者に影響を与えます)

今回の資料では、軽減税率導入時の経理処理方法として、次の4案が示されています。

A案:区分経理に対応した請求書等保存方式
B案:A案に売手の請求書交付義務等を追加した方式
C案:事業者番号及び請求書番号を付さない税額別記請求書方式
D案:EU型インボイス方式

過去からの議論の流れを見ていると、将来的にはD案のEU型インボイス方式に落ち着くような印象を持ちます。

その場合、売手は事業者番号(VAT-ID番号)と請求書番号を記載したインボイスの発行を義務付けられますが、そのためには、個別の事業者ごとに事業者番号を付与しなければなりません。

現在の税制協議会のスケジュールでは、年末の税制大綱時に軽減税率の方向を決めることを目指していますが、そうなると法案成立は平成27年3月末。次回の税率改正日(平成27年10月1日)までの6カ月間で事業者番号の付与作業を完了させるのは現実的ではないでしょう。

そうすると、軽減税率の導入は税率改正とは別の時期に行われることになり、経理部門とIT部門にとっては、平成27年10月の税率改正を乗り越えても、その次に、もっと大きなヤマが待ち受けることになります。(クワバラ、クワバラ)


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