税理士の吉澤大先生から、新刊 『2時間で丸わかり 不動産の税金の基本を学ぶ』 を献本していただきました。
この本は、かんき出版さんの 『2時間で丸わかり 不動産の基本を学ぶ』 (以降「不動産の基本」)の続編にあたるものです。
一般の方々は、あまり目にされていないかもしれませんが、「不動産の基本」は2013年実務書ジャンルにおけるベストセラーの1冊です(内容ももちろんですが、この装丁も効いているのでしょう)。
そこで、 『2時間で丸わかり』 シリーズの第2弾として刊行されたのが、今回ご紹介する 『不動産の税金の基本を学ぶ』 (以降「税金の基本」)です。
出版社の販売手法として、「不動産の基本」「税金の基本」は、2冊並べて平置きで陳列されることが多いでしょうから、どのような方が、どちらの本を購入すべきかについて解説しておきましょう。
まず、「不動産の基本」の想定読者は不動産業に勤められている方、特に仲介業の方を対象にしているため、物件調査、融資、契約という取引の流れにそって説明が行われています。
不動産流通業は、個人事業レベルの事業所では、十分な業務指導を行うことが難しい半面、大手のフランチャイズではマニュアルが厚過ぎて消化しきれないというジレンマがあります。
そこで、簡単に不動産取引の全体を理解したいという業界内の潜在的なニーズにマッチしたのが本書ヒットの要因でしょう。
仲介業において、不動産取引の過程で生じる税金は「印紙税」「不動産取得税」しかありません(「固定資産税」は価格の一部として精算しているだけ)。したがって、「不動産の基本」における税金は、取得時の諸費用の一部という位置づけになります。
しかし、不動産取引の当事者である売主と買主にとっては、取引後から生じる様々な税金が興味の対象となり、それは所得税、法人税、消費税の領域の話になります。
そこで、「不動産の基本」で説明が省略されていた税金部分を中心に解説したのが第2弾の「税金の基本」です。
特に「不動産賃貸を個人でやるか法人でやるか」の有利不利判断は、総合的な税務知識が必要になりますが、本書では上手にまとめられています。
また第2弾である「税金の基本」は編集上の工夫も加えられており、各章の項目が
「これを知らないと恥ずかしい」
「ここまで知っていると信頼される」
「さらに詳しくなるための参考資料」
の3段階に分けられています。不動産業の方々にとっては、「これを知らないと恥ずかしい」の項目は、実務上「恥ずかしい」では済まないでしょうから、一度、目を通しておくべきでしょう。
結論をまとめますと、不動産業界(特に流通業)の方は2冊同時に購入すべきでしょう。
不動産の売却・購入をお考えの方は、まず「税金の基本」を購入し、物件に対して将来発生するであろう税金の仕組みを理解するのがお勧めです。
(最後に、一言、両誌とも内容的に充実しているだけに、「2時間」で読み終えるのは難しいんじゃないですか?)
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