先日(3月19日)の償却可能限度額のエントリーに、説明が足りない部分がありましたので、補足しておきます。(このブログは、”補足”が多くてすみません。私の力不足が主因ではありますが、会計制度の複雑性にも起因するものですのでご容赦ください。)

私の説明が不足していたと思われるのは
「残存価額を下げると、定率法の償却率にも影響が生じてしまいます。」
の箇所です。
この部分を理解していただくために、税法における定率法の償却率の算出式を説明する必要がありました。

耐用年数n年の定率法の償却率=1-n√(残存価額/取得価額)
               
つまり、残存価額の取得価額に対する割合(現状0.1)のn乗根を1から引いた数が耐用年数n年の定率法の償却率になるように定めています。耐用年数到達時に残存価額分だけ簿価が残るようにするには、このような複雑な計算が必要になるわけです。

この計算式が存在するため、固定資産の償却額を増やすために、単純に残存価額を変更してしまうと、その影響が定率法の償却率全体に及んでしまい、税収に与える影響が大きくなってしまいます。そこで、昭和39年の改正では、この償却率へ影響を与えないために、残存価額に手を付けず、償却可能限度額という概念を新たに導入したということです。
(これで、皆さん、ご理解いただけたでしょうか。)