昨日(6月30日)、電子帳簿保存法に関する取扱通達一問一答(Q&A)が改訂、公表されました。
Q&Aは、電子帳簿関係、スキャナ保存関係、電子取引関係の3種類に分かれているのですが、先日のブログでもご説明したとおり、すべての事業者に影響を与える「電子取引関係」のQ&Aの改正点をみていきましょう。

今回、新たに16個のQ&Aが追加されました。その中でも中小事業者の方々に関連するものとして次のようなものがあります。

問8 e-Tax でダイレクト納付等の電子納税を行った場合にメッセージボックスに格納される受信通知(納付区分番号通知、納付完了通知)については、電子取引データとして保存する必要があるのでしょうか。

【回答】
e-Taxでダイレクト納付等の電子納税を行った場合に納税者のメッセージボックスに格納される受信通知(納付区分番号通知、納付完了通知)は、電子帳簿保存法が規定する電子取引の取引情報に当たらないため、保存義務はありません。

問9 インターネットバンキングを利用した振込等は、電子取引に該当するのでしょうか。また、該当する場合には、どのようなデータを保存すべきでしょうか。

【回答】
インターネットバンキングを利用した振込等も、電子取引に該当します。
電子帳簿保存法上、保存しなければならないその電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、金融機関の窓口で振込等を行ったとした場合に受領する書面の記載事項(振込等を実施した取引年月日・金額・振込先名等)が記載されたデータ(電磁的記録)です。

問 13 電子取引で受け取った取引情報について、同じ内容のものを書面でも受領した場合、書面を正本として取り扱うことを取り決めているときでも、電子データも保存する必要がありますか。

【回答】
電子データと書面の内容が同一であり、書面を正本として取り扱うことを自社内等で取り決めている場合には、当該書面の保存のみで足ります。ただし、書面で受領した取引情報を補完するような取引情報が電子データに含まれているなどその内容が同一でない場合には、書面及び電子データの両方を保存する必要があります。

問 17 パソコンやプリンタを保有しておらず、スマートフォンのみで取引を行っている場合には、どのように電子取引データ保存への対応をすればいいでしょうか。

【回答】
スマートフォンで授受(メールやインターネット上表示された領収書等をダウンロード)した電子取引データを保存する場合も、検索機能を確保するとともに、「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を作成し備え付けておくなどの対応が必要になります。
なお、電子取引データの保存要件にはプリンタの備付けも含まれていますが、税務調査等があった時点においてプリンタを常設していない場合であっても、近隣の有料プリンタ等により税務職員の求めに応じて速やかに出力するなどの対応ができれば、プリンタを備え付けているものと取り扱って、差し支えありません。

問 37 エクセルやワードのファイル形式で受領したデータをPDFファイルに変換して保存することや、パスワードが付与されているデータについて、パスワードを解除してから保存することは、認められますか。

【回答】
取引内容が変更されるおそれがなく合理的な方法により編集して保存されているものとして認められると考えられます。

問 38 電子メール等で受領した領収書データ等を、訂正・削除の記録が残るシステムで保存している場合には、改ざん防止のための措置を講じていることとなりますか。

【回答】
訂正・削除の記録が残るなどの一定のシステムを使用することによって改ざん防止のための措置を講じていることとするためには、保存だけではなく、データの授受も当該システム内で行う必要がありますので、改ざん防止のための措置を講じていることとはなりません。
別途、不当な訂正・削除を防止するための事務処理規程を制定して遵守するなどの方法によって改ざん防止のための措置を講じることが必要です。

問 39 サイトからダウンロードできる領収書等データは、ダウンロードした時に授受があったとされるのでしょうか。また、ダウンロードしなければ、その電子データの保存義務は生じないのでしょうか。

【回答】
インターネット上でその領収書等データを確認できることとなった時点が電子取引の授受があったタイミングだと考えられます。領収書等データが提供されている以上、ダウンロードしなければ保存義務が生じないというものではありません。
なお、別途同一の記載内容の書面が郵送されてくる場合には、正本(どちらか一方)のみの保存で足ります。

問 45 自社のメールシステムでは受領した取引情報に係る電子データについて検索機能を備えることができません。その場合、メールの内容をPDF等にエクスポート・変換し、検索機能等を備えた上で保存する方法も認められますか。

【回答】
認められます。

問 58 電子取引の取引情報に係る電磁的記録を出力した書面をスキャナ保存することは認められますか。

【回答】
認められません。

問 59 私は、勤務先から支払われている給与のほか、副業として行っている講演・原稿執筆から得ている雑所得を有しています。これらの雑所得を生ずる活動については、相手方等との一切のやりとりを電子メール・ウェブサイト上で行っていますが、法第7条の規定に基づき、その取引情報に係る電子データを保存しなければなりませんか。

【回答】
所得税法上、ある年の雑所得を生ずべき業務に係る収入金額について、前々年の金額が 300万円を超える場合には、その業務に関してやりとりした請求書・領収書等(以下「現金預金取引等関係書類」といいます。)を保存する必要があります。
副業として行っている講演・原稿執筆等は、ここでいう雑所得を生ずべき業務に該当することから、その業務に関する現金預金取引等関係書類の保存義務があるため、それを電子データで授受した場合には、法第7条の規定に基づいて当該電子データを保存する必要があります。

各問いには、【回答】とあわせて【解説】が付いてますので、気になる質問があればQ&A原文の解説を確認してください。