会計業界で働かれている方々は、3月決算のピークを越えたこれからの時期にPCの入れ替えを計画されるケースが多いのではないでしょうか。
私も先日、業務用のPCを最新機種に移行したのですが、eLTaxの移行で恐ろしい目(?)に遭いましたので、今後PC移行を検討されている方の参考になるようにまとめておきます。

PCdesk(DL版)の移行に注意

通常、地方税の電子申告(eL-TAX)は会計ベンダーの専用ソフトで行いますが、こちらの移行は簡単です。
一方、eL-TAX側でも無償のソフト(PCdesk)を提供しています。ベンダーソフトとPCdeskは対応範囲が異なるため、PCdeskも常にダウンロードしているのですが、こちらの移行に注意が必要です。

以前、当ブログでも取り上げましたがeLTAXは2019年10月から新システムが導入され、それにあわせてPC deskも新バージョンに更新されました。
旧バージョンのPCdeskを移行するには¥Program Files内の個別ファイルを探し出してコピーするというMS-DOS時代のような手続きが必要なため、 「PCdeskデータ移行マニュアル」にしたがって完全に正しい順序で行わなければ「確実に移行が失敗する」という代物でした。

参考:旧バージョンの「PCdesk データ移行マニュアル」
202006171

  202006172

同じ名称で異なる内容のマニュアルが存在する

さすがに、新バージョンはもっと簡便になっているだろうと思いながら、慎重を期して最新の「PCdesk データ移行マニュアル」を入手して作業に入ります。
「PCdeskデータ移行マニュアル 1.1版 2019年12月」
https://www.eltax.lta.go.jp/documents/01068

202006173

しかし、このマニュアルを読んでいると、どうも内容がおかしい。
あらためてマニュアル冒頭を読み直してみますと。

202006174

「本書は、旧PCdeskから新PCdeskへ移行する手順について説明したものです」

つまり、旧バージョンの移行マニュアルは「パソコン間の移行」に関するマニュアルだったのですが、新バージョンの移行マニュアルは旧バージョンから新バージョンへの「バージョンアップのマニュアル」に内容が変わっているのです。

これは、新バージョンと旧バージョンで開発ベンダーが変更された事による手違いだと思われますが、発注元(総務省)がしっかり管理してもらわないと混乱しますよね。

新バージョンにおける「パソコン間の移行」については、旧バージョンのように専用のマニュアルは用意されておらず、
「PCdesk(DL版)ガイド【申告、納税等】」
https://www.eltax.lta.go.jp/documents/00057

の中の「9 PCdeskのデータを移行する」(346ページ!)からの記述にしたがって行ってください。

202006175

また、eL-TAXのHPのトップに「PCdeskのバージョンアップ・データ移行」というリンクがありますが、こちらも「バージョンアップ方法」についての説明ですので「パソコンの移行」には関係ありません。

202006176

このリンク先に「 PCdeskの移行データ出力ツール」がダウンロードできるようになっていますが、このツールは旧バージョンから新バージョンへの移行時に使用するものです。
新バージョンについても利用できますが(PGMが流れてしまうのも怖い)、ファイル書き出し時のパスワード設定を間違えた場合には、移行ができないだけではなく、移行元のバージョンでも使用できなくなります(ヘルプデスクによるとインテグリティを確保するために、そのような仕様になっているとのこと)。

最後に繰り返しになりますが、PCdeskのパソコン移行の際には「PCdeskデータ移行マニュアル」ではなく、「PCdesk(DL版)ガイド【申告、納税等】」 の「9PCdeskのデータを移行する」をご参照ください。

【ご案内】
先日、日本経営合理化協会で開催したオンラインセミナーに参加できなかった方向けにダウンロード版の販売も開始されましたので、こちらもご利用ください。
決算書が苦手な社長のための「有事の資金繰り」
https://www.jmca.jp/prod/11599