本日、2019年10月1日から消費税率が10%に改正されました。
あわせて軽減税率制度も導入され飲食料品と新聞については軽減税率8%が適用されます。
コンビニエンスストア各社がどのような対応をしているのか見ていきましょう。

最初はセブンイレブンです。
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セブンイレブンでは、単体の価格を税抜表示(先日のブログでも取り上げました)。軽減税率対象品との区別には「*」を印字しています。
また、キャッシュレス還元2%分について「即時充当」方式を採用し支払額から直接控除しています。
https://www.sej.co.jp/var/rev0/0002/2290/11996125654.pdf

続いてファミリーマートです。
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ファミリーマートでは、単体の価格を税込表示。軽減税率対象品との区別には「」を印字しています。
(ちなみに商品名の「黒白7本短冊付」は不祝儀袋ですので標準税率の10%が適用されています)
こちらもセブンイレブン同様、キャッシュレス還元2%分の4円は即時充当方式で代金から直接控除しています。
https://www.family.co.jp/services/other/info1910.html

最後にローソン。
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ローソンでは、単体の価格を税込表示。軽減税率対象品との区別には「」を印字しています。
このレシートだとわかりづらいのですが、ローソンも上記2社同様「即時充当」方式を採用しキャッシュレス還元2%分を支払代金から控除しています。
https://www.lawson.co.jp/service/others/taxes/

このように、大手コンビニはキャッシュレス還元のポイントを「即時充当」方式で支払額から直接控除しています。
では、このようなレシートにもとづいて、どのような経理処理をすればよいのでしょうか。

購入に伴って発生したポイントは、本来「雑収入」として認識するのが理論的ですが、実務上は出納額と合わせるために購入時の値引として処理ケースが一般的です。
標準税率(10%)と軽減税率(8%)のように税率の異なる商品を同時に購入した場合、この値引額をどのように処理するかが問題になります。

消費税法の軽減税率に関する個別通達15では、次のように定めています。
軽減税率 個別通達15
「(略)一括して対価の額の値引きが行われており、当該資産の譲渡等に係る適用税率ごとの値引額又は値引額控除後の対価の額が明らかでないときは、割引券等による値引額を当該資産の譲渡等に係る価額の比率により按分し、適用税率ごとの値引額及び値引額控除後の対価の額を区分することとなることに留意する」

値引額を値引前の価額の比率で按分することを求めています。

さらに、上記通達の後段に次のような記述があります。
「なお、当該資産の譲渡等に際して顧客へ交付する領収書等の書類により適用税率ごとの値引額又は値引額控除後の対価の額が確認できるときは、当該資産の譲渡等に係る値引額又は値引額控除後の対価の額が、適用税率ごとに合理的に区分されているものに該当する。」

つまり、レシート等の記載で税率ごとの値引額が確認できれば、必ずしも按分計算によらず、標準税率分から優先的に充当するといった方法でも合理的に区分されているものとみなされます。
ただし、コンビニ3社のレシートとも値引額を税率ごとに区分して表示していません。

したがいまして、当ブログ上で公にできる結論としては
「軽減税率 個別通達15にしたがって値引分は税率ごとに按分して処理する」
という記述になってしまうのですが、実務上は難しいのではないでしょうか。