(本日のネタは会計に関係ない与太話ですので、ご多忙の方は飛ばしてください)

先日の朝刊に、ポール・マッカートニー武道館公演の全面広告が掲載されました。皆さんもご覧になられたでしょう。

「1966年以来 48年ぶりに あの舞台に立つ」

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しかし、私は、このキャッチコピーに強い違和感を覚えました。

もう30年以上前の自分が中学生時代の昔話になりますが、少々、お付き合いください。
当時のポールは、ウイングスというバンド名義で活動しており、ヒット作を連発していました。そして、1980年1月に7日間の武道館公演が決まります。

http://blogs.yahoo.co.jp/layhishead1980/12417821.html

しかし、来日時の成田空港税関で大麻が発見されポールは即逮捕、コンサートはキャンセルとなり、このマッカートニーの大麻事件は、当時の大ニュースとなりました。

https://www.youtube.com/watch?v=bTAfTdgl3CY

(この事件をネタにしたスネークマンショーの傑作「はい、菊地です」)

私自身、結構ポールのファンでしたので、この時には、大麻程度で逮捕は厳し過ぎるのと思っていたのですが、その後に起きた事件でポールへの印象は一変しました。

大麻事件を起こした同年5月にマッカートニーは “McCartney II” という新譜を出すのですが、そのアルバムの8曲目が ”Frozen Jap” という曲だったのです。

歌詞のないインストですが、このタイミングで日本人を揶揄するような仕打ちはないでしょう。
日本のアルバムでは「フローズン・ジャパニーズ」に改題されましたが、音楽雑誌では大きく取り上げられましたので、この事件以来、私の中では、この人は「どーしようもないオッサン」と位置付けられました。

このような経験がありましたので、自らの責任で武道館ツアーをキャンセルしておきながら、 「48年振りの武道館」 を煽るのはおかしいだろうというのが、私の感じた違和感の理由です。

当然ながら、この広告のコピーを考えたのはポール自身ではなく、日本のコピーライターの方ですが、その方が大麻事件をご存じだったのかは興味のあるところです。

大麻事件以降にポールを聞きだした人々にとっては、伝説のバンド、ビートルズのメンバーである偉大なアーティスト。

一方、ウイングス時代からポールを聞きだして大麻事件を体験した我々世代にとっては、「日本をナメている、とんでもないオッサン」。

さらに、時代を遡って、48年前のビートルズ初来日時代からファンだった人にとっては、また違った印象になります。
当時はロックを聴くこと自体御法度、長髪にエレキギターなどとんでもないという時代です。
http://www.yunioshi.com/beatlesinjapan.html

先ほどの大麻事件よりも前の1975年には、麻薬不法所持の前科のためにポールの来日ビザが取り消され、ファンの方々は来日のための嘆願活動まで行っています。

この時代からポールを応援しているファンからみれば大麻事件程度で騒いでいるのは「ド素人。その偉大さがまったくわかっていない!」 ということになるはずです。

話が長くなりましたが、ポール・マッカートニーという現役アーティストの評価でさえも、時代によってこれだけ変わるのですから、いわんや、他国と歴史認識を合わせるのは、大変、難しい作業なのだと、あらためて実感したのが、ポールから学んだ教訓です。

ちなみに、今回の武道館ライブのチケット代は、アリーナ10万円(!)、一番安いB席でも4万円(!)です。この値段でビビった自分こそ、真の”FROZEN JAP”でありました。

(25歳以下限定で、1,500円のC席が用意されていますが、その数は100席のみ。プロモータの方も、この値付けに罪の意識を感じ、免罪符が必要だったようです)

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