日本実業出版社さんから、武田雄治先生の新刊  『社長のための 1年で売上が急上昇する「黒字シート」』 を献本していただきました。

本書は、2012年に刊行された 『社長のための 1年で会社を黒字にする方法』 (書評はこちら)の続編にあたります。

前作は、会計記録の利用によるコスト削減を中心にしたものでしたが、今回は収益拡大という経営の根幹テーマに挑戦しています。

本書では、収益拡大のために 「ビジネスシナリオMAP」「ビジネスモデルMAP」 という手法が紹介されています。

まず、「ビジネスシナリオMAP」によって自社の経営環境を可視化し、「存在意義」と「ドメイン」を定義します。
次に、ビジネスモデルの要素を中小企業向けに「顧客(最終及び直接)」「商品価値」「価値の提供方法(チャネル)」の3つに単純化した「ビジネスモデルMAP」を使って儲けの仕組みを整理した後に、具体的な活動に落とし込んでいきます。

本書を読んで思い浮かんだのは、戦略思考を中小企業向けにアレンジして大ヒットにつながった神田昌典氏の 『60分間企業ダントツ化プロジェクト』 でした。

『60分間』で提案しているスター戦略構築法では、「商品、顧客、競合、収益シミュレーション、タイミング、メッセージ」の要素ごとにペイオフ・マトリクスを作っていくため、マトリクス間の関係性や整合性がわかりづらい面がありました。

しかし、本書で提案されているマップは、各要素を1枚にまとめているため関係性がわかりやすくなっています。特に、中小企業経営者を対象にした場合には、本書レベルまでの単純化した方が実行性が高いでしょう。

『60分間』の要諦は、戦略立案の過程に社員を巻き込むことで行動につなげていく点にありました。
本書は「社長のための」と銘打たれているように社長の行動にフォーカスしており、社員による戦略の実行については、最終節のアクション・マネジメントでの解説に限定されています。
この実行フェーズについては、次回作の予告編ということでしょうか?

マイケル・ポーターの著作を読み過ぎたあまり、混乱してきた経営者の頭の中を整理するのに最適な一冊になっています。

【追記】
大事な、発売日が洩れていました。明日、1月25日より発売開始です!


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