消費税法におけるファイナンス・リース取引の扱いは、法人税法に準じて売買とみなされます。
しかし、法人税法で許容されていた賃貸借処理に関する例外規定(法人税法施行令第131条の2)が消費税法では規定されなかったため、原則通りリース開始時に資産の譲渡が行なわれたことになり、リース資産の取得価額の全額を仕入税額控除の対象としなければならないのです。(消費税基本通達11-3-2(注)参照)。

この結果、ファイナンス・リース取引に賃貸借処理を行なうと、法人税法における損金認識時点と消費税法における仕入税額控除認識時点が異なるため、別途調整計算が必要になります。

実務的には、現行の消費税集計システムにおいて、賃貸借処理したファイナンス・リース取引をどのようにして認識するのかが問題になります。

リース取引を賃貸借処理した際の仕訳例
(前提:リース料総額 63,000(内消費税 3,000円)、リース期間5年、月支払額1,050円)

(リース開始時)
  リース資産(課税)  60,000 /未払金(不課税)   63,000
  仮払消費税       3,000

  未払金(不課税)   60,000 /リース資産(不課税) 60,000

(リース料支払時)
  賃借料(不課税)     1050 / 現金         1050
  未払金(不課税)      50 /賃借料(不課税)     50

個別に仕訳を起こすよりも、期中支払額を特定の勘定科目にまとめて処理しておき、期末時にまとめて仮払消費税を整理した方が楽かもしれませんが、どのような仕訳をしようとも、現状システムで対応するためには、かなりの無理が生じます。
会計システム担当者にとっては、罪作りな規定と言えましょう。
ちなみに、日本税理士連合会が7月22日公表した「平成21年度・税制改正に関する建議書」には、リースに係る仕入税額控除方式の選択性(初年度一括控除とリース期間中分割控除との選択)導入を求める要望が上げられています。

《追記》 平成20年11月21日に公表された消費税質疑応答事例により、結局、従来どおり賃貸借処理時の仕入税額控除も認めらることが明らかになりました。(システム開発担当者の立場からは、消費税の「悲劇」というよりも「喜劇」という結末です)