ここで、少し、公認会計士の行う会計監査とシステムの関係を見ていきましょう。
日本公認会計士協会内において、情報システムを所轄するために設けられた最初の委員会は「電子計算機会計委員会」であり、当委員会、最初の答申「EDPシステムの監査基準および監査手続試案」は、昭和51年に公表されています。

その後、委員会名を情報システム委員会に改め、第1号の委員会研究報告「EDPシステムの監査―業務処理統制の監査―」が昭和60年に公表されています。

こうして記録を追ってみますと、会計士協会の情報システムへの対応は、EDPシステム導入初期から行なわれていいたことがわかります。

当時のEDPシステムは、極めて高価なものでしたから、資金に余裕のある一部の大企業しか導入することはできなかったと思われます。一方、会計監査も上場している大企業を対象とするものですから、社会一般への普及に先駆けて対応が進められたのでしょう。
ただし、当委員会が公表するものは、「委員会研究報告」(会員の業務の参考となる決定事項)であり、監査の実務を拘束するものではありませんでした。