先日、7月18日に、日本公認会計士協会から「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」の公開草案が公表されました。
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_890.html

これは、内部統制監査を行う監査人の実務上の取扱いを明確にするために、留意事項や監査報告書の文例等についてまとめたものです。
この中に、内部統制の重要な欠陥の例示として、以下のようなものが挙げられています。

11.内部統制の重要な欠陥
(3) 重要な欠陥に該当するかどうかを検討すべき内部統制の不備

財務報告に係る内部統制の重要な欠陥に該当するかどうかを検討すべき内部統制の不備の例示として、次の場合が挙げられる。
① 前期以前の財務諸表につき重要な修正をして公表した場合や決算発表につき重要な修正をした場合
② 経理・財務部門の専門的能力や人員が不十分であるため、企業の内部統制により識別できなかった財務諸表の重要な虚偽記載を監査人が検出した場合
③ 取締役会又は監査役若しくは監査委員会による財務報告に係る内部統制に対するモニタリングが有効に機能していない場合
④ 内部監査機能やリスク評価機能が有効に機能していない場合
⑤ 上級経営者層の一部による不正が特定された場合
⑥ 統制環境に不備がある場合

これら例示は、米国基準(PCAOB AS2)と同様のものですが、この部分が最終版で、どのような表現になるのかは、実務への影響が大きいと思われます。
特に①の「決算発表につき重要な修正をした場合」が例示に含まれると、決算短信の公表は、今まで以上の慎重さが求められます。