先日のブログに書いた、平成10年の税制改正と固定資産管理システム(又は減価償却システム)との関係について補足しておきます。
平成10年度の税制改正では、減価償却制度の大幅な見直しが行なわれました。
まず、実情との乖離が指摘されていた建物の法定耐用年数が、最長で50年までに(従来は最長65年)短縮されました。
ただし、税収減への影響を考慮し、耐用年数短縮の効果を相殺するような施策も合わせて導入され、新規取得建物の償却方法は定額法に限定されることになりました。
税法上は、新規取得建物(平成10年4月1日以降取得分)のみに適用される規定ですが、企業会計上は、同一条件の資産について異なる耐用年数が適用されることは不適切であるため(監査第一委員会報告第32号参照)、上場企業の多くが、従来から所有していた建物についても償却方法を定額法に変更したのです。
この償却方法の変更という手続は、税法上も会計上も認められているものですが、この機能を有していない固定資産管理システムも多いため、特殊なロジックを組み込むことによってシステム対応するケースが生じました。

したがって、固定資産管理システムを修正又は移行する際には、平成10年度における対応方法を確認しておかないと、正しい減価償却計算を継続できない恐れがあるので注意してください。
(しかし、当時の担当者が、残っているとは限りませんので、その際は、ソースプログラムにあたりましょう。)