先日、イージフ社CFOの野口由美子先生から新刊の『
初めてでもよくわかる 原価計算
』(日本実業出版社)を献本していただきました。

原価計算という領域は、会計制度の中でも難易度が高いため、専門的な書籍が中心で入門書が少ないのが現状です。

最近の作品では、佐久間裕幸先生が『ゼロからはじめる原価計算 個別原価計算編
』を刊行されており、こちらの書籍も丁寧な解説で入門者向けの内容になっています。
ただし、佐久間先生の作品は「個別原価計算編」と「総合原価計算編」にわかれていますので網羅性とコスト・パフォーマンスという点では、野口先生の著作に分があるでしょうか。

本書を、最もお勧めしたい読者は、公認会計士試験の受験生の方々です。
現在の会計士受験は、独学での学習は困難であり、ほとんどの受験生はTACや大原等の予備校に通われていると思います。

会計学の管理会計論(昔は原価計算という独立科目でした)の初回講義において、講師が勧める参考書籍は岡本清先生の名著『原価計算
』(国元書房)しかありえません。

向上心に燃える受験生は、すぐさま水道橋の丸沼書店で岡本原価計算を購入しますが、手にした瞬間に通読するのは不可能なことに気付きます(何と990ページ!)。
その結果、原価計算については、授業の進捗通りに逐次的に学習せざるを得ません。

講習の初期段階で、原価計算の全体像をつかめる本を一冊通読しておけば、予備校での授業は、もっと効率的なものになるでしょう。

本書は、そのような受験生のニーズに合致する一冊であります。

(ちなみに、本書中のコラムでは、会計領域ごとの推薦図書が挙げられているのですが、「財務会計」において拙書 『会計の基本』 を推薦していただきました。この場をお借りして、お礼申し上げます。)