昨日発売の税務弘報2012年5月号(中央経済社)、特集『消費税増税までに企業がやっておくべきこと』に、 『システム変更をどのように進めるのか』を寄稿しました。

読者の方がいらっしゃいましたら、ご一読いただければ幸いです。

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執筆依頼を受けたのが2月の初め、まだ社会保障・税一体改革の大綱が閣議決定される前でしたので、5月号(4月5日発売)をこの企画でスタートするのは危ないのではないかと気が気ではありませんでした。

疑心暗鬼のまま3月初旬に原稿を仕上げ、それからは、政局の行方を祈る気持ちで見守っておりましたが、幸い3月末に、大綱に準じた形で法案が閣議決定されましたので、今回の原稿も無事に日の目を見ることになりました。
(しかし、閣議前に取り下げになっていたら、編集者は、今月号をどうするつもりだったのだろうか?)

私、昭和63年当時、化粧品会社の情報システム部員として物品税から消費税への切替作業に従事しおりました。
今回の執筆にあたり、当時の資料を再読したのですが、売上税廃案のドタバタや消費税導入直前の天皇陛下の崩御など、様々な記憶が思い出され、なかなか感慨深いものがありました。

その中の昔話をひとつご紹介しておきます。

昭和61年、当時の中曽根首相は衆参同時選挙(いわゆる「死んだふり解散」)を実施し、 「大型間接税の導入はしない」との公言のもと300議席を超える大勝利を納めました。

選挙直後、前言を翻して売上税の導入を進めたのですが、その時の中曽根首相の抗弁は以下のようなものです。

「私が申しておる いわゆる大型間接税というものは、多段階、包括的、網羅的、普遍的で、縦横十文字に投網で全部ひっくるめて取ってしまうというような意味である、そういうことを申し上げてきておるのであります。
 (中略)税率が5%以下で極めて低い水準にある。ヨーロッパにおけるものは大体15%から20%ぐらいの模様でございます。以上のような判断からいたしまして、非常に大きな限定がなされておるのでありまして、公約には違反しないと考えております。」

(昭和61年12月10日参院本会議 議事録より)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/107/0010/10712100010012a.html

つまり、間接税は導入するが「大型」ではないから公約破りではないという理屈です。
さらに、売上税の当初法案では税率5%が予定されていたのですが、それを「極めて低い水準」と言い切っています。
(最終的に売上税は廃案となり、その後の消費税は税率3%からスタートになりました)

野党自民党の党首さえ、このようにおっしゃていたのですから、今後、8%への増税も当然ということになるのでしょうか?