3月決算も近づき、リース取引の消費税についての質問が増えていますので、平成20年11月24日のブログに引き続き、再度、リース取引における賃借人の消費税処理をまとめておきます。

●原則的方法
所有権移転外ファイナンスリース取引は、リース資産の引渡しを受けた日に資産の譲り受けがあったものとし、リース料総額にかかる消費税額を一括して仕入税額控除する。

消費税質疑応答事例 仕入税額控除(課税仕入れの範囲)22
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/16/22.htm

例えば、毎月1,000円(税込1,050円)で5年(60ヶ月)、リース総額60千円(税込63千円)のファイナンス・リース取引を行う場合には、リース開始時にリース総額60千円に対する消費税額3千円を一括控除することになります。

●問題点
会計基準上、所有権移転外ファイナンスリースは、資産購入と同様の会計処理が求められているが、重要性のない所有権移転外ファイナンスリース取引(1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引等)については、賃貸借処理も認められている。また、ほとんどの中小企業は、リース会計基準に準じた会計処理を採用しておらず、従来どおりの賃貸借処理を採用している。
(賃貸借処理)
    賃借料  1,000円  現預金 1,050円
    仮払消費税 50円
賃貸借処理を採用している場合に、上記原則的方法で仕入税額控除を行うことは、甚だ困難です(通常の会計及び固定資産システムでは対応不可能)。

●例外的方法
賃貸借処理をしている場合に、そのリース料支払の都度、仕入税額控除の対象とする分割控除も認められる。

消費税質疑応答事例 仕入税額控除(課税仕入れの範囲)23
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/16/23.htm

現時点で、上記、文章を読めば、結局、どちらでも良いのだから何も問題がないように感じると思います。しかし、賃貸借処理に例外的方法が認められることが明らかになったのが、改正税法が施行されてから7ヶ月(!)も経った、平成21年11月21日であったため、現場に混乱を生んでいるのです。

納税者にとって、税務的には原則的方法が有利になりますが、会計処理の手間は増加します。今後の作業負荷を考慮して、会社の採用する会計処理を決定する必要があります。