先日、連載が終了した日経新聞BizPlus「適用直前! 工事進行基準で経営はこう変わる」の第5回「もうひとつの工事進行基準」において、法人税法における工事進行基準の扱いについて解説しました。

セミナー等における質問をうかがっていても、この法人税法における工事進行基準の扱いについて混乱されている方が多いようですので、再度、整理しておきます。

まず最初に確認しておきたいのは、今回導入される「工事契約に関する会計基準」と法人税の関係です。法人税法第22条に以下の記述があります。

法人税法第22条(各事業年度の所得の金額の計算)
第2項 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
   (中略)
第4項 第2
項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。

新しい「工事契約に関する会計基準」は、第4項でいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に該当しますので、法人税法上もこの基準にしたがって計算をすればよいのですが、その前に「別段の定めがあるものを除き」という限定があります。

法人税法上、工事契約にかかる工事進行基準については、この「別段の定め」が存在しますので、会計基準よりも法人税法特有の「別段の定め」が優先して適用されることになるのです。